AFRICAN LION NOW

アフリカ大陸におけるライオンの現状

 このページは下記サイトの内容を翻訳し要約したものです

"Vulnerable and Endangered Species: African Lion" 
by  African Impact (July 18, 2019) 

 

 

急速な生息地の消失と密猟によって、

2050年までにアフリカのライオンは完全に絶滅する可能性があります

 

世界のあらゆる文化圏で愛され、アフリカを訪れる者を惹きつけてやまない動物・ライオン。
しかし野生動物の違法取引や密猟の横行多額の金を支払うトロフィーハンターのための狩猟ビジネスなどによって、
ライオンは急速なスピードでこの地球上から姿を消しつつあります。

 

 

野生ライオンに関する事実

 

ーアフリカのライオンの生息数は、半世紀の内に90%減少ー

ー現在、アフリカの野生ライオンの数はおよそ2万頭のみ-

ーアフリカ大陸の26カ国で既にライオンは絶滅したー

 

 

 

 

ライオンは絶滅危惧種か?

 

ライオンは現在、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストにおいて「Vulnerable (危急種)」に指定されています。

 

アフリカの一部の地域ではライオンの個体数がかつてないほど激減しているため「Critically Endangered (近絶滅種)」に分類されています。

 

*図・引用元「1万3000種って何の数字?」(ナショナルジオグラフィック日本版)

 

 

アフリカのライオンにとって、最大の脅威とは?

 

「危急種」という言葉が示唆する以上に、ライオン保護の最前線には多くの課題があります。

 

1.  生息地の消失

2.  野生動物の違法取引

3.  合法的取引に対する不十分な規制

4. 病気

5. 気候変動

 

 

 

1. 生息地の消失

 

生息地の消失は野生動物の絶滅の主な原因であり、多くの動物が危機に瀕している理由でもあります。野生の土地は開発や農業のために伐採され、ライオン(および他の多くの動物)を自然の生息地から追い出しています。アフリカ全域で、ライオンはかつての90%以上の生息地をすでに失いました。

 

このように生息地が失われると、深刻な影響が生じます。ライオンには、獲物を見つけ、交配相手を見つけ、群れとして繁栄するために必要な広さのサバンナの草原がもはやありません。さらに、生息地の減少は人間とライオンの避け難い接近を意味します。生息地を確保できないライオンは村に侵入し、人間の共同体が生活の糧としている家畜を狙うことを余儀なくされ、すると人間はライオンを殺す他ありません。かつてライオンはアフリカ大陸の大半の土地を放浪していましたが、現在では逼迫した状況に追いやられています。

 

 

2. 野生動物の違法取引

 

野生動物の違法取引は、世界の違法取引の中でも第四位になるほどの規模です。アフリカの組織犯罪は保護区周辺の貧しいコミュニティを標的にし、金と引き換えにライオンを要求したり、密猟への協力を拒否すると暴力的な脅迫を行うことも頻繁です。野生動物保護区の周辺は貧困地帯であることが多いため、ライオンを密猟する見返りに大金を手にできることは多くの共同体にとって誘惑的なものであり、その結果として数十年かけて培われた保護活動の実りを無に帰するような危機も招いています。

 

アジアでは骨、歯、爪などのトラの部位を薬用にする需要があり、長年にわたり野生動物の違法取引が煽られてきました。トラの骨が希少になるにつれ、ライオンの骨の需要が急増しています。ライオンの骨はトラの製品として販売されるため、密猟者の間で非常に珍重されています。

 

 

3. 合法的取引に対する不十分な規制

 

トロフィーハンティングは地域社会に数百万ドルをもたらし、自然保護に貢献しているとすら言われることもありますが、実際に地域社会に還元されるのは収益の3%程度に過ぎません。また「危急種」に指定されているライオンの個体数は守られるべきものであり、狩猟に開かれるべきではありません。

 

観光産業がライオン保護や地域社会に対して犯してきた過ちと失敗は指摘されざるを得ません。 合法とされている狩猟がいかに大きな収益をもたらそうと、野生動物を見るためにアフリカを訪れる旅行者によって生み出される数十億の収入とは比較になりません。アフリカに観光客を惹きつけるライオンのような動物たちがいなくなれば、この収入源もなくなってしまいます。

 

野生動物観光の需要が高まる一方で、規制の不十分なトロフィーハンティングは、多くのアフリカ諸国が経済の活性化と地元住民の雇用のために依存している10億ドル規模の観光産業を脅かしているというのが実態です。

 

 

4. 病気

 

ライオンの群れは近年、病気によって回復不能なほどの影響を受けています。

セレンゲティで発生した「モルビリウイルス」は(一説によれば)ライオンの生息数の約30%を死滅させ、南アフリカでも「ウシ型結核菌」がライオンの群れに壊滅的な被害を与えました。2030年には残されたライオン生息数の80%が消失する可能性があると言われています。さらに懸念される脅威は「猫ヘルペスウイルス (FeHV) 感染症」や「猫免疫不全ウイルス (FIV) 感染症」の蔓延です。これらの感染症は病原性が低いために既に多くのライオンに感染が拡がっており、深刻な影響を及ぼしています。今後、ますます衰退していく生息状況においてはもはや回復できない可能性もあります。

 

 

5. 気候変動

 

気候変動は人間も動物も直面する非常に厳しい現実的脅威であり、ライオンも例外ではありません。ライオンが生き延びられるか否かは、刻々と変化していく生態系と地球に適応できるかどうかにかかっています。

 

天候や生息地の変化に適応するため、動物はより適した条件を求めて新しい場所に移動していくものです。しかし残念ながら、アフリカのライオン生息地の多くは禁猟区や国立公園の中に限定されており、このような土地は人間の管理に依存しています。気候変動が激化し、大地が乾燥し、人がそこにいられなくなると、これらの生息地の維持はより困難で複雑なものとなります。そして、それらの生息地も失われれば、ライオンの行き場はありません。あっという間に絶滅の危機に追い込まれてしまいます。

 

Photo © Dawie Jacobs